日韓の 法令に 関すること(など)

日韓の 改め文に 関することを 中心に 調べたことなど(法令以外に 関するものも 含む。)を 書いていく 予定です(ひとまず)。 IE未対応です。

各号列記以外の部分

各号以外の部分

「…また、条文が本文と号で構成されている場合において、改正しようとする部分が各号でなく本文にある規定であれば「各号以外の部分」と、各号以外の部分が本文とただし書又は前段と後段からなっている場合には、当該部分まで引用しなければならない。

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第3条第2項各号以外の部分本文中「---」を「---」に改める。

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*『法令立案・審査基準』672頁。

  1. 日本では,「各号列記以外の部分」という 表現は,やむを得ない場合にのみ 用いることとされている。
  2. これに 対し,韓国では,「各号列記以外の部分」を 単純に 「各号以外の部分」と 表現し,また これを 常に 書くことを 原則とする。
  3. ところで,各号列記以外の部分の ただし書を 改正しようとする場合,日本では 「第〇条ただし書(各号列記以外の部分に限る。)」とするか,単に 「第〇条ただし書」などとして 付属語等によって ただし書中の 語句を 特定するのが 普通である*1のに対し,韓国では「第〇条各号以外の部分ただし書」の如く 表現する。
  4. このような 韓国での 表現は,本文・ただし書を 各号列記以外の部分の 下位区分として 位置づけているものと 考えられ,このような 表現方式では,各号列記以外の部分と 各号列記との 関係は,本文と ただし書の 関係に 類似して 捉えられるのでは なかろうか。
  5. すなわち,ただし書も 各号列記も 条(項)に 必須のものではないこと,本文も 各号列記以外の部分も,ただし書 又は 各号列記が なければ 単に 第〇条と 表現されるところを,ただし書 又は 各号列記が あることによって,その呼称が 変化するということである。
  6. 対して,条は,項があれば,条自体に ぶら下がる 文章というのは,存在し得ないし,章も 章自体に ぶら下がる 文章は,存在しない。

「第〇条ただし書各号列記以外の部分」の 適否

  1. ところで,いま 仮に 「第〇条ただし書各号列記以外の部分」という 表現を 検討してみようと思う。
  2. まず,各号列記は,本文と ただし書とで 共有することが できるのみならず,一の 条(項)に 2以上を おくことが できない点において,飽くまでも 当該 条自体に 係るものであると 考えられる。
  3. また,例えば 本文(前段・後段)・ただし書から なる条の 場合に,ただし書の 内容が 本文前段 又は 後段のみに 係る場合であっても,その両方に 係るであっても,これを その実質的な 内容に 応じて,前段ただし書とか 後段ただし書とかと 表現することは ない。
  4. そうすると,各号列記は,実質的には 本文 又は ただし書だけに 係る場合も あるとはいえ,やはり このような 表現は,適切と 言いがたいであろう。

「(各号列記以外の部分)」の 適否

  1. また,韓国でのように 条(項)柱書きの 改正時に 「各号列記以外の部分」を 常に 明示する場合における 「第〇条ただし書(各号列記以外の部分)」という表現の 適否を 考えてみる。
  2. この場合,先に述べたように,各号列記以外の部分・各号列記の 関係は,本文・ただし書の 関係と 同様に 捉えられるところ,本文(前段・後段)・ただし書から なる条の 本文前段を 表すのに,「第〇条本文前段」のように 表すことは あっても,「第〇条前段(ただし書以外の部分)」のように 表すことは できない。
  3. また,柱書き自体は 「第〇条各号列記以外の部分」として 特定しつつ,その 本文・ただし書は 「第〇条ただし書(各号列記以外の部分に限る。)」という 「各号列記以外の部分を 原則表示しないこと」を 前提とした*2 特定を 行うことは,矛盾的である。
  4. また,同じ 「各号列記以外の部分」を,あるときは 直接に,あるときは 括弧内に 示されることは,表記の 統一性を 欠く。
  5. すると,柱書きの 改正時 その要否に 拘らず「各号列記以外の部分」を 常に明示する 方式による場合において,「(各号列記以外の部分)」という 表現を 用いることは,不適切と 言うべきであろう。

*1:WB2の問210参照

*2:「第〇条ただし書(各号列記以外の部分に限る。)」表現は,「ただし書」に 各号列記が 含まれないことを 前提に,まず単に 「ただし書」として 特定しつつ,これに 各号列記が 含まれるという 誤った解釈を 防ぐために,確認的に 「(各号列記以外の部分に限る。)」と注釈したものと 考えるべきである。