以下を読んで。
項名が複数行にわたる場合
航空法施行令別表の改め文は、要するに、項の名称が複数行にわたって、字句を列記するものである場合に、当該項をどのように特定するのかという問題である。
例えば、〈例1〉のような表の場合、「一番上の欄の内容をそのまま項名とする」という一般的な取扱いからすれば、〈例1a〉のように表現することとなるはずであるが、航空法施行令別表の改正では、昭和50年代以後〈例1b〉のように表現している。
なお、初期には、改正に係る字句を用いて引用することにより、改正の都度、例えば、空港等の欄中「松島飛行場
百里飛行場」の部分を改正する場合には「松島飛行場及び百里飛行場に係る項」と表現したり、同欄中「浜松飛行場」の部分を改正する場合には「浜松飛行場に係る項」と表現したりと〈例1b1.〉、同一の項でも異なる引用をする場合があったが、最近では、純粋に一番先頭の字句によっているようである〈例1b2.〉[未検証]。
〈例1〉
空港等 委任事項 大湊飛行場
松島飛行場
宇都宮飛行場
硫黄島飛行場
浜松飛行場
明野飛行場
防府飛行場
小月飛行場
小松島飛行場
鹿屋飛行場
一 航空交通管制圏及びこれに接続する進入管制区に係る航空法第九十四条ただし書、第九十四条の二第一項ただし書、第九十五条ただし書、第九十六条第一項及び第三項並びに第九十七条第一項に規定する事項(同法第九十四条の二第一項ただし書に規定する事項は、八戸飛行場、三沢飛行場及び大湊飛行場に係るものに限り、同法第九十六条第一項及び第三項に規定する事項は、防府飛行場、小月飛行場及び小松島飛行場にあつては、進入管制業務、飛行場管制業務及びターミナル・レーダー管制業務に限る。)
二 航空法第九十六条第二項に規定する事項
三 出発する航空機(三沢飛行場、小松飛行場、美保飛行場及び徳島飛行場にあつては、自衛隊等の航空機に限る。)に係る航空法第九十七条第二項に規定する事項
四 到着した航空機(三沢飛行場、小松飛行場、美保飛行場及び徳島飛行場にあつては、自衛隊等の航空機に限る。)に係る航空法第九十八条に規定する事項
〈例1a〉
- 八戸飛行場
三沢飛行場
大湊飛行場
松島飛行場
百里飛行場
宇都宮飛行場
硫黄島飛行場
小松飛行場
浜松飛行場
明野飛行場
美保飛行場
防府飛行場
小月飛行場
徳島飛行場
小松島飛行場
築城飛行場
鹿屋飛行場の項空港等の欄中「八戸飛行場
三沢飛行場
大湊飛行場」を「札幌飛行場
三沢飛行場
大湊飛行場
八戸飛行場」に改め・・・る。〈例1b〉
- 八戸飛行場に係る項空港等の欄中「八戸飛行場
三沢飛行場
大湊飛行場」を「札幌飛行場
三沢飛行場
大湊飛行場
八戸飛行場」に改め・・・る。- 八戸飛行場、三沢飛行場及び大湊飛行場に係る項空港等の欄中「八戸飛行場
三沢飛行場
大湊飛行場」を「札幌飛行場
三沢飛行場
大湊飛行場
八戸飛行場」に改め・・・る。
〈例1c〉
- 八戸飛行場、三沢飛行場、大湊飛行場、松島飛行場、百里飛行場、宇都宮飛行場、硫黄島飛行場、小松飛行場、浜松飛行場、明野飛行場、美保飛行場、防府飛行場、小月飛行場、徳島飛行場、小松島飛行場、築城飛行場及び鹿屋飛行場に係る項空港等の欄中「八戸飛行場
三沢飛行場
大湊飛行場」を「札幌飛行場
三沢飛行場
大湊飛行場
八戸飛行場」に改め・・・る。
[立法例]
航空法施行令の一部を改正する政令(平成20年政令第321号)
別表八戸飛行場に係る項空港等の欄中「八戸飛行場
三沢飛行場
大湊飛行場」を「札幌飛行場
三沢飛行場
大湊飛行場
八戸飛行場」に改め、同項委任事項の欄第1号中「八戸飛行場、三沢飛行場及び大湊飛行場」を「三沢飛行場、大湊飛行場及び八戸飛行場」に改め、同欄第3号及び第4号中「三沢飛行場」を「札幌飛行場、三沢飛行場」に改め・・・る。
個人的には、「係る」を用い、項名自体を引用することを避けることによって、複数行による表現を避ける手法〈例1b〉自体は、アリだと思う。
ただ、確かに代表的な1事項のみを掲げて引用する方法は、必ずしも当該項を明確に特定できているとは言いがたいことも確かである。故に、どうにも項名を複数行で表現することを避けたいのであれば、〈例1c〉のように項名中の事項をいずれも引用する方法が適当であると考えるのであるが、長ったらしくなってしまう嫌いがある。
もっとも、空港名を加減する改正を行うにあたっては、結局複数行の引用を行うことになるのであるから、そこまで徹底的に複数行での項名の表現を避ける必要があるかはよく分からない。
2以上の項目に係る欄を引用する場合
法人税法(昭和40年法律第34号)の改め文は、要するに、2以上の項目に係る欄をどのように特定するかという問題である。
例えば、〈例2〉の場合、一番上の欄を基準に「項」を捉えれば、文字どおり複数の項として捉えることになるから、〈例2a〉のように引用することとなるはずである。
これに対して、第2欄以後が結合している場合と同様に、結合している全体を1つの項と捉えれば、各項目を合わせて1項と捉えることになる。
このとき、共同省令の表記のように、両項目を平等に引用しようとすれば、〈例2c〉のようになるはずである。
〈例2〉
国家公務員共済組合
国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)
〈例2a〉
- 国家公務員共済組合の項及び国家公務員共済組合連合会の項(下欄)中「(昭和33年法律第128号)」を削・・・る。
〈例2b〉
- 国家公務員共済組合及び国家公務員共済組合連合会の項(下欄)中「(昭和33年法律第128号)」を削・・・る。
〈例2c〉
- 国家公務員共済組合
国家公務員共済組合連合会の項(下欄)中「(昭和33年法律第128号)」を削・・・る。
[立法例]
所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9号)第3条
別表第2国家公務員共済組合及び国家公務員共済組合連合会の項中「(昭和33年法律第128号)」を削・・・る。
個人的には、途中で各欄が結合されているとしても、項は、先頭の欄を基準に把握すべきであると考えるから、〈例2a〉のように表現すべきと考える。