日韓の 法令に 関すること(など)

日韓の 改め文に 関することを 中心に 調べたことなど(法令以外に 関するものも 含む。)を 書いていく 予定です(ひとまず)。 IE未対応です。

準用と適用(韓国法)

  • 法令立案・審査基準(韓国)より

ハ. 準用と区別すべき表現
「準用する」と類似しはするが,区別すべき表現として,「適用する」と「例による」という表現がある。
1) ある事項を規律するために作られた条文を,少しも修正せずに,それと性質が同じ他の規律対象に使用するときは,「適用する」と表現する。「適用」は,既に規定されている条文を,修正せずにそのまま従わせるという点において,既存条文の規律範囲を拡張する意味がある。

2) 「準用する」は法令に明示された規定に限定して準用する場合に使用するが,「例による」はある法律の制度や法令の規定を包括的に他の規律対象に準用しようとする場合に使用する。 

ニ. 準用規定時の留意事項

右に言及した事項のほかにも,準用規定をおく際には,次のような点に留意するようにする。

1) 一般的に,下位法令で上位法令を準用することはない。
 但し,上位法令から委任を受けて定める委任立法の場合,その委任の範囲及び限界の内で,委任(再委任の場合には,その本来の委任)した上位法令と同位の関連法令を準用する規定をおく場合がある。
 上位法令では,下位法令を準用しない。

2) 国民の権利を制限し,又は義務を付加する立法の場合には,立法の明確性の次元から,準用方式を使用するよりは,直接関連の内容を規定するようにする。
 侵益的性格を有する立法の場合,準用方式で規定させた場合,何が禁止され,又は要求されるのかが,きちんと分からなくなり,法執行者の恣意的執行をもたらしうるためである。
 特に,刑事法,租税法等の国民の基本権を直接的に制限し,又は侵害する素地のある法規では,具体性及び明確性の要求が一層強化されるから,準用方式を一層制限的に使用しなければならない。

3) 準用方式を取る場合,準用対象は,改正の頻繁な規定よりは,改正のあまりなされない規定を対象とすることが適切である。
 原則的に,準用対象の規定と準用規定は,連動しているから,準用対象の規定が改正されれば,準用規定でも改正された準用対象規定の内容を準用し続けることとなる。
 この場合,改正された準用対象規定の内容を準用規定で準用し続ければ,準用規定の性質に合わなくなったり,当初の準用の趣旨に反する結果をもたらし,改正された準用対象規定を準用し続けるのが困難な場合が生じうるためである。

4) どの規定を準用するのかについて,条文を具体的に特定せずに,法令全体を準用対象とする包括的準用方式は,準用範囲に関して,解釈上の議論が生じうるから,包括的準用規定をおくよりは,対象条文を特定して,準用するようにする。

5) 準用の有する性格上,準用された規定を再び準用させることとなると,法文の理解を一層困難にするのみならず,準用される条文の範囲等について,解釈上の議論が起こりうるから,準用された規定を再度準用させないようにする。

  • なお,準用読替え〈바꿔 읽기〉の事例。

法人税法

第38条(保険差益により取得した資産価額の損金算入)

② 保険差益により資産を取得し,又は改良する場合の場合の損金算入等に関しては,第36条第2項及び第3項を準用する。この場合において,第36条第2項中「1年」を「2年」とみなす。 <改正 2018. 12. 24.>

第92条(国内源泉所得金額の計算)

⑥ 第3項による国内源泉不動産等譲渡所得の不当行為計算に関しては,「所得税法」第101条を準用する。この場合において,「特殊関係人」は,「「法人税法」第2条第12号による特殊関係人」とみなす。 <改正 2011. 12. 31., 2018. 12. 24.>

  1.  というので,いくつか 変更適用の 例が ないか 探してみたところ,それっぽいものは あった。
  2. 印象として,独立直後は おそらく 日本法の 方式を そのまま 継受したために いくつか 用例が あり,その後 右のような 原則から,あまり 使用されなくなったが,近年に なって,どうにも 変更適用せざるを 得ない 事例が 増えてきたのでは なかろうかと 思う。
  3. 結論として,わが国とは 異なり,準用読替え・適用読替え いずれも『「・・・」を「~~~」とみなす。』の 方式を 取っている。
  4. 派遣労働者保護等に関する法律(注釈参照。)の 事例を 見ると,厳密に 条文中の 文言を 字句的に 読み換えているというよりは,概念的な レベルでの(文字どおり)みなし=擬制であるようだ。

 相続税及び贈与税*1

第41条の3(株式等の上場等による利益の贈与)

転換社債等の贈与を受け,又は遺贈により取得(発行法人から直接引受け・取得する場合を含む)し,その転換社債等が5年以内に株式等に転換された場合には,その転換された株式等の贈与を受け,又は取得したものとみなして,第1項から第6項までの規定を適用する。この場合において,精算基準日までに株式等に転換しなかったときは,精算基準日に株式等に転換されたものとみなして,第1項から第6項までの規定を適用し,その転換社債等の満期日までに株式等に転換されなかったときは,精算基準日を基準として,課税した贈与税額を還付する。<改正 2015. 12. 15.>

⑨ 偽りその他の不正の方法により贈与税を減少させたものと認められるときは,特殊関係人でない者の間の贈与についても,第1項及び第2項を適用する。この場合において,第1項中期間に関する規定*2は,ないものとみなす。<改正 2015. 12. 15.>

派遣労働者保護等に関する法律*3

第35条(「産業安全保健法*4」の適用に関する特例) ①派遣中の労働者の派遣労働に関しては,使用事業主を「産業安全保健法」第2条第4号による事業主と見なして同法を適用する。この場合において,「産業安全保健法」第29条第2項を適用するにあたっては,「労働者を採用するとき」*5を「労働者派遣の役務の提供を受けたとき」とみなす。<改正 2019. 1. 15.>

②第1項の規定にかかわらず,「産業安全保健法」第5条,第132条第2項ただし書,同条第4項(作業場所の変更,作業転換及び労働時間の短縮の場合に限る),第157条第3項の適用にあっては,派遣事業主及び使用事業主を同法第2条第4号による事業主とみなす。<改正 2019. 1. 15.>

③ 略

④第1項及び第3項の規定にかかわらず,「産業安全保健法」第129条及び第130条により事業主が定期的に実施すべき健康診断のうち,雇用労働省令が定める健康診断については,派遣事業主を同法第2条第4号による事業主とみなす。<改正 2008. 3. 21., 2010. 6. 4., 2019. 1. 15.>

⑤ 略

⑥派遣事業主及び使用事業主が「産業安全保健法」に違反する内容を含む労働者派遣契約を締結し,その契約に従って,派遣労働者を労働させ,もって同法に違反した場合には,その契約当事者の全員を同法第2条第4号による事業主とみなして,該当する罰則規定を適用する。<改正 2019. 1. 15.>

[見出し改正 2019. 1. 15.] 

法律第5329号特許法中改正法律

附則第2条(特許異議申立てについての特例)①第6条*6の規定を適用するにあたって,1998年2月28日までは,同条中「第167条の規定による拒絶査定に対する抗告審判の申立て」は,「第167条の規定による拒絶査定又は取消決定に対する抗告審判の申立て」とみなす。

②第164条第1項*7の規定を適用するにあたって,1998年2月28日までは,同項中「審判の審決又は抗告審判の審決が確定するときまで」は,「特許異議申立てに対する決定,審判の審決又は抗告審判の審決が確定するときまで」とみなす。

③第170条第1項*8の規定を適用するにあたって,1998年2月28日までは,同項前段中「第50条・第51条・第63条及び第66条ないし第75条」は「第51条・第63条及び第66条」と,同項後段は削られたものとみなし,同条第3項の規定を適用するあたって,1998年2月28日までは,同項中「第51条第4項ないし第6項」は「第51条第1項・第5項」とみなす。

④第171条第3項及び第4項*9の規定を適用するにあたって,1998年2月28日までは,同項中「拒絶査定」は,各々「拒絶査定又は取消決定」とみなす。

⑤第172条*10の規定を適用するにあたって,1998年2月28日までは,同条中「審査又は審判で経た特許に関する手続」は,「審査・特許異議申立て又は審判で経た特許に関する手続」とみなす。

⑥第176条*11の規定を適用するにあたって,1998年2月28日までは,同条中「拒絶査定又は審判の審決を破棄しなければならない」は,「拒絶査定・取消決定又は審判の審決を破棄又は取消しなければならない。」とみなす。

*1:以前は,韓国でも「相続税法」であった。

*2:第1項は,次のとおりとなっている。
① 企業の経営等に関して公開されていない情報を利用することのできる地位にあると認められる次の各号のいずれか一に該当する者(・・・)の特殊関係人が第2項により当該法人の株式等の贈与を受け,又は取得した場合において,その株式等の贈与を受け,又は取得した日から5年以内にその株式等が「資本市場及び金融投資業に関する法律」第8条の2第4項第1号による証券市場であって,大統領令で定める証券市場(・・・)に上場されることに伴い,その価額が増加した場合であって,その株式等の贈与を受け,又は取得した者が,当初の贈与税課税価額(・・・)又は取得価額を超過して利益を得た場合には,その利益に相当する金額を,その利益を得た者の贈与財産価額とする。但し,・・・。
(各号 略)<改正 2011. 12. 31., 2013. 5. 28., 2015. 12. 15., 2016. 12. 20.>

*3:わが国の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(第45条)に該当する。

*4:わが国の「労働安全衛生法」に該当する。なお,制定は,日本の10年後である。

*5:なお,第29条第2項は,次のとおりとなっている。
② 事業主は,労働者(建設日雇労働者は除く。以下この条において同じ)を採用するとき及び作業内容を変更するときは,・・・。

*6:当時の第6条は,次のとおりである。
第6条(代理権の範囲)国内に住所又は営業所を有する者から,特許に関する手続を経ることを委任された代理人は,特別の授権を得なければ,特許出願の変更・放棄・取下げ,特許権の存続期間の延長登録出願の取下げ,請求の取下げ,申立ての取下げ,第55条第1項の規定による優先権主張又はその取下げ,第132条の3・第132条の4の規定による審判請求又は復代理人の選任をすることができない。<改正 1993·12·10, 1995·1·5>

*7:当時の同項は,次のとおりである。
第164条(審判又は訴訟手続の中止)①審判において必要なときは,当該審判事件に関連する他の審判の審決が確定するときまで,又は訴訟手続が完結するときまでその手続を中止することができる。<改正 1995·1·5>
第164条(審判又は訴訟手続の中止)①審判において必要なときは,当該審判事件に関連する特許異議申立てに対する決定又は他の審判の審決が確定し,又は訴訟手続が完結するときまでその手続を中止することができる。<改正 1997·4·10>

*8:当時の同項は,次のとおりである。
第170条(審査規定の拒絶査定に対する審判への準用)①第47条第2項第3号・第50条・第51条・第63条及び第66条ないし第75条の規定は,拒絶査定に対する審判に関して,これを準用する。この場合において,その特許出願について既に出願公告がある場合には,第66条の規定は,これを準用しない。<改正 1993·12·10, 1995·1·5>
第170条(審査規定の拒絶査定に対する審判への準用)①第47条第2項第3号・第51条・第63条及び第66条の規定は,拒絶査定に対する審判に関して,これを準用する。この場合において,第51条第3項中「第132条の4の規定による補正却下決定に対する審判をしたとき」は「第186条第1項の規定により訴えを提起したとき」と,「その審判の審決が確定するときまで」は「その判決が確定するときまで」とみなす。[全文改正 1997. 4. 10.]

*9:(少なくとも 当時の 同条には 第1項 及び 第2項しか)ない・・・?

*10:当時の 同条は,次のとおりである。
第172条(審査手続の効力)審査において経た特許に関する手続は,拒絶査定に対する審判においても,その効力を有する。[全文改正 1995·1·5]
第172条(審査又は特許異議申立手続の効力)審査又は特許異議申立てにおいて経た特許に関する手続は,拒絶査定又は取消決定に対する審判においても,その効力を有する。[全文改正 1997·4·10]

*11:当時の 同条は,次のとおりである。
第176条(取消・差戻)①審判官は,第132条の3又は第132条の4の規定による審判が請求された場合において,その請求が理由があると認めたときは,審決で拒絶査定又は補正却下決定を取り消さなければならない。
②審判において,拒絶査定を取り消す場合には,審査に付すべき旨の審決をすることができる。
③第1項及び第2項の規定による審決において,取消の基本となった理由は,その事件について,審査官を羈束する。
[全文改正 1995·1·5]
第176条(取消・差戻)①審判官は,第132条の3又は第132条の4の規定による審判が請求された場合において,その請求が理由があると認めたときは,審決で拒絶査定・取消決定又は補正却下決定を取り消さなければならない。<改正 1997·4·10>
②審判において,拒絶査定又は取消決定を取り消す場合には,審査に付すべき旨の審決をすることができる。<改正 1997·4·10>
③第1項及び第2項の規定による審決において,取消の基本となった理由は,その事件について,審査官を羈束する。
[全文改正 1995·1·5]