改正規定(本文・ただし書と 段,なお書き)
総論
- ただし書は ある条・項・号(以下「条等」という。)の 本文の 規定に対する 例外や 補則的 事項を 定めるのに 用いられる。
- 段は,ある条等が 複数の 文(ただし書を除く。)に 区切られている場合の 当該 各区切りを 表す。
- 2・3段からなる 条等の 場合には,特に 前・中・後段と 呼ぶ。
- 基本的に,ある条等に 本文・ただし書と 前・後段の 2種が 混在することは 避けられるが,やむを得ない場合には,混用されることがある。
- この場合には,「前・後段→本文・ただし書(前段本文・ただし書,後段本文・ただし書)」,「本文・ただし書→前・後段(本文前・後段,ただし書前・後段)」の いずれの場合も ある。
- また,ただし書 類似のものとして,戦後初期 なお書きが 用いられたこともあったが,現在では 用いられていない。
本文
総論
- 本文は,条等に 原則 1つある。
- 従って,本則と 同様に これを 削ったり,加えるという 操作は,通常 発生しない。
- なお,通達や 通知書の 類いでは,ただし書(,おって書きや なお書き)のみからなる 項目が あることがある。
改正
本文を 改めるには,次のような 方法による。
[全部を 改める 場合]
第1条本文を次のように改める。
・・・。*1
[一部を 改める 場合]
第1条本文中「・・・」を「・・・」に改める。*2
[전부를 개정하는 경우]
제1조 본문을 다음과 같이 한다.
・・・.*3
[일부를 개정하는 경우]
제1조 본문 중 "・・・"을 "・・・"로 한다.*4
ただし書
総論
- 戦後初期には「但し,」が用いられたが,現在では「ただし,」と表記することとされている*5。従って,「但し」で始まるただし書の実質改正にあたっては,最初に「但し」を「ただし」に改めることとなる。
- 韓国の場合,「ただし(다만,)」(古くは 「但」。)と「しかし(그러나)」があるが,両方ともただし書として取り扱う。こちらも,現在では,基本的に「ただし」の方を用いることになっている。「しかし」を「ただし」に改めるには,次の方法による。
- なお,「但し」を「ただし」に,「しかし(그러나)」・「但」を「ただし(다만)」に改めるには,次の方法による。
第1条ただし書中「但し」を「ただし」に改める。*6
제1조 단서 중 "그러나"를 "다만,"으로 한다.*7
제1조 단서 중 "단"을 "다만,"으로 한다.*8
追加
ただし書を 加えるには,次のような 方法による。
第1条に次のただし書を加える。
ただし,・・・。*9
[戦前]
第一条に左の但書を加ふ
但し・・・*10
[원칙]
제1조에 단서를 다음과 같이 신설한다.
다만, ・・・.*11
[각 호가 있는 조 등의 경우]
제1조 각호 외의 부분에 후단을 다음과 같이 신설한다.
다만, ・・・.
改正
ただし書を 改めるには,次のような 方法による。
[全部を 改める 場合]
第1条ただし書を次のように改める。
ただし,・・・。*12
[一部を 改める 場合]
第1条ただし書中「・・・」を「・・・」に改める。*13
[各号を 含む ただし書に 改める 場合]
第1条ただし書を次のように改める。
ただし,・・・。
(1) ・・・
(2) ・・・
[戦前]
第1条第1項但書を左の如く改む
但し・・・
第1条第1項但書を左の如く改む
但し・・・
(1) ・・・
(2) ・・・*14
[전부를 개정하는 경우]
제1조 단서를 다음과 같이 한다.
다만, ・・・.*15
[일부를 개정하는 경우]
제1조 단서 중 "・・・"을 "・・・"로 한다.*16
削去
ただし書を 削るには,次のような 方法による。
第1条ただし書を削る。*17
제1조 단서를 삭제한다.*18
段
総論
- 基本的に,項番号の ない 条の 項と 同様に 考えれば よい。
追加
- 通常,条等の 段の 追加は,当該条等の 末尾に 行われることが 多い。
- 日本では,ただし書の 新設時と 若干 表現が 異なることに 注意を要する。
- 条等に 段を 加えるには,次のような 方法による。
[末尾に 加える場合]
第1条に後段として次のように加える。
・・・。*19
[中間に 加える場合]
第1条に中段として次のように加える。
・・・。*20
[戦前]
第1条中「(直前の段の最後の字句)」の下に「(段の全部)」を加ふ*21
第1条の末尾に左の如く加ふ
・・・*22
[원칙]
제1조에 후단을 다음과 같이 신설한다.
이 경우 ・・・.*23
[각 호가 있는 조 등의 경우]
제1조 각호 외의 부분에 후단을 다음과 같이 신설한다.
이 경우 ・・・.
改正
- 段を 改めるには,次のような 方法による。
- 日本では,原則として,一部を 改める 場合の 段の 明示は,2以上の 段に 同一の 字句が 含まれる 場合などのように 特に その必要が ある 場合に 限って 行うものと されている。
- しかし,私見としては,絶対に 必要な 場合以外でも,段を 明示した 方が 改正内容が 分かりやすいと 考えられるから,積極的に 明示することが 望ましいと 考える。
- 韓国では,本文・ただし書と 同様に,必ず 明示することと されている。
[全部を 改める 場合]
第1条後段を次のように改める。
・・・。*24
[一部を 改める 場合]
第1条後段中「・・・」を「・・・」に改める。*25
[전부를 개정하는 경우]
제1조 후단을 다음과 같이 한다.
・・・.*26
[일부를 개정하는 경우]
제1조 후단 중 "・・・"을 "・・・"로 한다.*27
削去
段を 削るには,次のような 方法による。
第1条後段を削る。*28
[戦前]
第1条中「(段の全部)」を削る*29
제1조 후단을 삭제한다.*30
なお書き
総論
- 現在では 用いられないが,昭和20年代 初期には 用いられていたものとして,なお書きがある。
- なお,通達等では,現在も 用いられている。
- このようなものは,当該条・項に 内容改正がある 際に「この場合において」などに 改めることとされている。その方法は,つぎのとおりである。
第1条中「なお」を「この場合において」に改める。*31
第1条中「なお、」を「この場合において、なお」に改める。*32
第1条中「なお」を「ただし」に改める。*33
第1条中「なお」を「また」に改める。*34
追加・削去
- なお書きを 改める場合,条レベルで 特定し,「 なお書きを次のように改める。」のようには しない。
- なお書を加え,又は削ろうとするときは,ただし書と同様の方法により,具体的には次のとおりである。
[加えるとき]
第1条に次のなお書きを加える。
なお、・・・。*35
[削るとき]
第1条なお書きを削る。*36
複合する場合の改正
日本では,ただし書を 後段に,後段を ただし書に 改めようとする場合,ただし書 又は 後段を 削り,後段 又は ただし書を 加える方式による。
韓国では,「단서를 후단으로 하여 다음과 같이한다.이 경우 -----.」のような 方式による*37。
雑記
本文・ただし書と 段の 関係について
- 本文・ただし書,前・後段の 階層構造については,号以下の 仕組みに 準じて 考えると,次のように 観念できるのでは なかろうか。
- 勿論,このように 観念すると 「本文前段ただし書」も 観念できることとなり,それは 適切かという 議論も あり得るところである。
- だが,これは 単に 1の 条等を あまり 多くの 文で 構成すべきでない,という 観点から 否定すれば 足りると 思われる。
- なお、わが国と 異なる 解決を 行った 例として、ドイツ法が あり、ドイツ法では、段ごとに 上付きの 数字を 振っている。
- その方法に よれば、理論的には、「2 ¹ 第2項第1段本文。同段ただし書。² 同項第2段本文。同段ただし書。・・・(中略)・・・。同項ただし書。」という 表現も 可能なのであろう。もっとも、敢えて そのような 奇異な 方式を 取る 必要も ないが・・・。
本文の 削除について
石油及び可燃性天然ガス資源開発法施行規則(昭和27年通商産業省令第44号)の一部を次のように改正する。
第十七条中・・・改め、第一号本文を削り、・・・改め、同条第二号を削り、同条第一号の号番号を削る。
本文の 追加について(韓国)
- 第1号から 第5号までを 第1号 イから ホまでとし,同号に 本文を 加えた 例。
- なんか 微妙な 感じが。。。
- まあ,そもそも 第1号から 第3号までを 改め,第4号 及び 第5号を 削るのが 本来かな。
第2条第1号から第5号までを同条第1号イからホまでとし,同号に次の本文を加える。
(1) ・・・。
제2조제1호 내지 제5호를 각각 동조제1호 가목 내지 마목으로 하고, 제1호 본문을 다음과 같이 신설한다.
1. ・・・.
*1:地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成27年法律第50号)第7条参照。
*2:農業災害補償法の一部を改正する法律(平成29年法律第74号)参照。
*3:법률 제14451호 항만공사법 일부개정법률 참조.
*4:법률 제7247호 경찰법중개정법률 부칙 제2조 제2항 및 제3항 참조.
*5:なお,省令レベルでは「但し」が使用される例もあるが,基本的には過誤によるものと思われる。
*6:民法の一部を改正する法律(平成16年法律第147号)参照。
*7:법률 제11634호 군인보수법 일부개정법률 참조.
*8:법률 제3227호 광고물등단속법중개정법률 참조.
*9:出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成28年法律第88号)参照。
*10:酒造組合法中改正法律(昭和18年法律第73号)参照。
*11:법률 제14041호 국유재산법 일부개정법률 참조.
*12:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)第2条参照。
*13:港湾法の一部を改正する法律(令和元年法律第68号)参照。
*15:법률 제15286호 국유재산법 일부개정법률 참조.
*16:법률 제10485호 국유재산법 일부개정법률 참조.
*17:会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和元年法律第71号)第41条参照。
*18:법률 제8857호 국가공무원법 일부개정법률 참조.
*19:会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和元年法律第71号)第15条参照。
*20:南極地域の環境の保護に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成二十二年環境省令第十七号),南極地域の環境の保護に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成17年環境省令第27号)参照。
*22:裁判所構成法中改正法律(大正11年法律第53号)参照。
*23:법률 제9984호 벤처기업육성에 관한 특별조치법 참조.
*24:私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第45号)第2条参照。
*25:情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第16号)第2条参照。
*26:법률 제9984호 벤처기업육성에 관한 특별조치법 참조.
*27:법률 제9157호 염관리법 일부개정법률 참조.
*28:会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和元年法律第71号)第6条,第11条等参照。
*29:樺太事業公債法中改正法律(大正9年法律第46号)参照
*30:법률 제16249호 아동수당법 일부개정법률 참조.
*31:地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)参照
*32:民法の一部を改正する法律(平成16年法律第147号)参照
*33:自衛隊法施行規則の一部を改正する総理府令(昭和61年総理府令第35号)参照
*34:南極地域の環境の保護に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成26年環境省令第24号)参照 →別表中の改正
*35:地方税法施行規則の一部を改正する省令(昭和50年自治省令第6号)参照。
*36:法人税法施行規則の一部を改正する省令(昭和46年大蔵省令第16号)参照。
*37:ただし,「법제이론과 실제」では 日本と 同様に 「제ㅇ조 단서(후단)를 삭제하고, 같은 조에 후단(단서)을 다음과 같이 신설한다.」のような 方式によるとする。