日韓の 法令に 関すること(など)

日韓の 改め文に 関することを 中心に 調べたことなど(法令以外に 関するものも 含む。)を 書いていく 予定です(ひとまず)。 IE未対応です。

債権の表示例(総論)

はじめに

  1. 以下は、本人が、各種文献から集めた表現を(民事執行に係るものは、自治体の債権差押通知書に記載するのに適合するように適宜変更して)収録したものである。
  2. 「滞納者」又は「債権者」は「滞納者」に、(滞納者から見た)「債務者」又は「第三債務者」は「第三債務者」に統一している。
  3. 「(上記)滞納金額」・「(上記)滞納国税」・「頭書金額」等は、仮に「(上記)滞納金額」に統一している。

総論

  1. 国税徴収法第63条本文では、原則「債権を差し押えるときは、その全額を差し押えなければならない」旨定める。このことは、債権の額が徴収すべき滞納金額を超える場合においても同様である。
  2. 一方、同条ただし書では、「その全額を差し押さえる必要がないと認めるときは、その一部を差し押さえることができる」旨定めるが、国税徴収法基本通達によれば、ここにいう「その全額を差し押さえる必要がないと認めるとき」とは、(1) 第三債務者の資力が十分で履行が確実と認められ、(2) 弁済期日が明確であり、かつ、(3)① 差し押さえる債権が国税に優先する質権等の目的となっておらず、また、②その支払につき抗弁事由がないときをいうものとされる。

各論

売掛金

  • 第三債務者の例:○○○○株式会社等
  • 履行期限の例:「○年○月○日」、「支払日」

滞納者が、第三債務者に対して有する下記売掛金の支払請求権。

  • ○年○月末日請求に係るエアコン10台の売却代金○○○円(消費税及び地方消費税を含む。)

貸付金

  • 第三債務者の例:○○○○株式会社等
  • 履行期限の例:「○年○月○日」、「契約による弁済期日」

滞納者が、第三債務者に対して有する下記契約による貸付金現在額○○○円の返還請求権及び債権差押通知書到達日までの約定利息の支払請求権。

  1. 貸付(契約)年月日 ○年○月○日
  2. 貸付元本額 ○○○円
  3. 約定利息 年○%
  4. 遅延損害金 年○%
  5. 弁済期日 ○年○月○日

家賃

  • 第三債務者の例:甲山乙郎
  • 履行期限の例:「毎月の支払日」、「毎月末」

滞納者が、下記不動産の賃貸借契約に基づき第三債務者から受領すべき○年○月分以降の家賃の支払請求権。ただし、上記滞納金額に満つるまで。

  1. 不動産の表示
    • ○○市○○町1丁目23番地
    • 家屋番号 23番
    • 鉄筋コンクリート造陸屋根7階建
    • 居宅
    • 5階部分 50.00㎡
  2. 賃料 月額 ○○○円 共益費 ○○円
  3. 支払月 翌月分を前月末までに支払う。

 

債権の種類

差押債権の表示

第三債務者の例

履行期限

敷金

滞納者が、下記不動産の賃貸借契約に基づき○年○月○日第三債務者に差し入れた敷金の返還請求権。

  1. 賃貸人 甲
  2. 賃借人 乙
  3. 賃貸借の目的物
    • ○○市○○町1丁目23番地
    • 家屋番号 23番
    • 鉄筋コンクリート造陸屋根7階建
    • 居宅
    • 5階部分 50.00㎡
  4. 敷金額 ○○○円
  不動産明渡時
供託金還付請求権

滞納者が、第三債務者に対して有する下記供託に係る供託金還付(取戻)請求権及び債権差押通知書到達日までの供託金利息の支払請求権。ただし(、供託金還付(取戻)請求権、供託金利息の支払請求権の順序により)、上記滞納金額に満つるまで。

  1. 供託年月日 ○年○月○日
  2. 供託番号 ○年度(金)第○号
  3. 供託金額 ○○○円(残高○○○円)
  4. 供託原因 ○○○○
  5. 供託者 甲
  6. 被供託者 乙

「国(代表者 ○○○法務局 供託官 ○○○○)」

「○○○法務局 供託官 ○○○○」

不動産明渡時

貯金

滞納者が、第三債務者に対して有する下記貯金の支払請求権及び債権差押通知書到達日までの利息の支払請求権。ただし、下記に定める順序により、上記滞納金額に満つるまで。

  1. 差押え又は仮差押えのある貯金があるときは、次に掲げる順序に従う。
    1. 先行の差押え又は仮差押えのないもの
    2. 先行の差押え又は仮差押えのあるもの
  2. 担保権の設定された貯金があるときは、次に掲げる順序に従う。
    1. 担保権の設定されていないもの
    2. 担保権の設定されたもの
  3. 数種の貯金があるときは、次に掲げる順序に従う。
    1. 定期貯金
    2. 定額貯金
    3. 通常貯蓄貯金
    4. 通常貯金
    5. 振替貯金
  4. 種類が同じ数個の貯金があるときは、その記号番号が若いものを優先する。記号番号が同じ数個の貯金があるときは、その貯金に付された番号が若いものを優先する。*1

株式会社ゆうちょ銀行 ○○貯金事務センター

 

郵便貯金*2

滞納者が、第三債務者に対して有する下記郵便貯金の支払請求権及び債権差押通知書到達日までの利息の支払請求権。ただし、下記に定める順序により、上記滞納金額に満つるまで。

  1. 差押え又は仮差押えのある郵便貯金があるときは、次に掲げる順序に従う。
    1. 先行の差押え又は仮差押えのないもの
    2. 先行の差押え又は仮差押えのあるもの
  2. 担保権の設定された郵便貯金があるときは、次に掲げる順序に従う。
    1. 担保権の設定されていないもの
    2. 担保権の設定されたもの
  3. 数種の郵便貯金があるときは、次に掲げる順序に従う。
    1. 定期郵便貯金(預入期間が経過し、通常郵便貯金となったものを含む。)
    2. 定額郵便貯金(預入の日から起算して10年が経過し、通常郵便貯金となったものを含む。)
    3. 積立郵便貯金(据置期間が経過し、通常郵便貯金となったものを含む。)
    4. 教育積立郵便貯金(据置期間の経過後4年が経過し、通常郵便貯金となったものを含む。)
    5. 住宅積立郵便貯金(据置期間の経過後2年が経過し、通常郵便貯金となったものを含む。)
    6. 通常郵便貯金(イからホまでに掲げるものを除く。)
  4. 種類が同じ数個の貯金があるときは、その記号番号が若いものを優先する。記号番号が同じ数個の貯金があるときは、その貯金に付された番号が若いものを優先する。*3

独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理機構

 

預託金

滞納者が、下記約束手形の不渡処分を免れるため、第三債務者の加盟する銀鏡協会に提供させる目的で第三債務者(○○支店扱い)に預託した金員の返還請求権。

  1. 支払場所 ○○銀行○○支店
  2. 支払期日 ○年○月○日
  3. 額面 ○○○円
  4. No. ○○○○

 

 

預託金

滞納者が、第三債務者(○○支店扱い)を支払場所として振り出した約束手形の不渡処分を免れるため、第三債務者の加盟する銀鏡協会に提供させる目的で第三債務者(○○支店扱い)に預託した金員の返還請求権。ただし、下記に定める順序により、上記滞納金額に満つるまで。

  1. 差押え又は仮差押えのある預託金があるときは、次に掲げる順序に従う。
    1. 先行の差押え又は仮差押えのないもの
    2. 先行の差押え又は仮差押えのあるもの
  2. 数個の預託金があるときは、その預託が早いものを優先する。同時に預託された数個の預託金があるときは、その預託の原因となった約束手形の発行番号が若いものを優先する。
  3. 支払期日 ○年○月○日
  4. 額面 ○○○円
  5. No. ○○○○

 

 

工事代金

滞納者が、第三債務者に対して有する下記工事代金の支払請求権。ただし、下記に掲げる順序に従い、上記滞納金額に満つるまで。

  1. 次の工事の請負代金
    1. 工事名 ○○○第○号道路工事
    2. 契約日 ○年○月○日
    3. 工事場所 ○○市○○町1丁目23番地
    4. 工期 ○年○月○日から○年○月○日まで
    5. 工事代金 ○○○円
  2. 次の工事の請負代金
    1. 工事名 ○○○学校校庭舗装工事
    2. 契約日 ○年○月○日
    3. 工事場所 ○○○
    4. 工期 ○年○月○日から○年○月○日まで
    5. 工事代金 ○○○円
   
工事代金

滞納者が、第三債務者に対して有する下記工事代金の支払請求権。ただし、支払期日の異なる数個の支払請求権があるときはその支払期日の早いものを優先し、支払期日の同じ数個の支払請求権があるときはその金額の大きいものを優先し、上記滞納金額に満つるまで。

  1. 工事名 ○○邸新築工事
  2. 契約日 ○年○月○日
  3. 不動産の表示
    • ○○市○○町1丁目23番地
    • 鉄筋コンクリート造陸屋根7階建
    • 居宅
    • 延べ面積 ○○㎡
  4. 工事代金 ○○○円
   
運送代金

滞納者が、第三債務者に対して有する下記運送代金の支払請求権。ただし、支払期日の異なる数個の支払請求権があるときはその支払期日の早いものを優先し、支払期日の同じ数個の支払請求権があるときはその金額の大きいものを優先し、上記滞納金額に満つるまで。

  1. 種類 トラック運送
  2. 期間 ○年○月○日から○年○月○日まで
   
売買代金

滞納者が、第三債務者に対して有する下記売買代金の支払請求権。ただし、支払期日の異なる数個の支払請求権があるときはその支払期日の早いものを優先し、支払期日の同じ数個の支払請求権があるときはその金額の大きいものを優先し、上記滞納金額に満つるまで。

  1. 商品名 ○○○
  2. 期間 ○年○月○日から○年○月○日まで
   
       
       
       

主な参考文献

  1. いわゆる税大講本;税務大学校国税徴収法(基礎編)令和3年度版』
  2. 弁護士業務書式研究会編著『弁護士業務書式文例集(5訂版)』
  3. 『徴収関係様式記載例集(改訂版)』(平成30年3月改訂)

*1:民事保全での差押債権目録の記載例に準じて記載した例。もっとも、民事保全とは異なり、滞納整理の場合には、事前の預貯金調査によって、預貯金の詳細をある程度把握していることが普通であるから、このように包括的な記載を行うことは、できるだけ避けるべきであろう。

*2:郵政民営化前に預け入れられたもの

*3:民事保全での差押債権目録の記載例に準じて記載した例。もっとも、民事保全とは異なり、滞納整理の場合には、事前の預貯金調査によって、預貯金の詳細をある程度把握していることが普通であるから、このように包括的な記載を行うことは、できるだけ避けるべきであろう。