日韓の 法令に 関すること(など)

日韓の 改め文に 関することを 中心に 調べたことなど(法令以外に 関するものも 含む。)を 書いていく 予定です(ひとまず)。 IE未対応です。

条の様式

以前 本則に様式を定める法令 - 自治体法制執務雑感の記事を 読んで、省令レベルでは、本則中に 様式を 定める場合が あることを 知ったのだが、特定計量器検定検査規則(平成五年通商産業省令第七十号)*1では、各条において、がっつり? 様式を 定めているようだ。

同省令では,附則の 後に 定める 通常の いわゆる別記様式*2とともに,第25条第1項*3,第26条*4,第27条第1項*5,第28条第3項*6,第35条*7及び第48条第1項第1号*8において 様式が定められている。

ただ,同省令の 各条の 様式は,第48条第1項第1号以外は 実質 単なる 横書きの文字列であって,条文中に 組み込むことも 可能なものである。

なお,同省令の第23条第1項では,記号を 直接 定めている。

第〇条の様式

ところで,健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成十三年厚生労働省令第十二号)附則第2条前段のように,「第1条 ・・・様式第2による〇〇・・・」という 条文がある場合に,当該様式を,「様式第2」ではなく 「第1条の様式」とする場合が あるようで,非常に 分かりづらいのみならず,形式的に 言えば 「様式」は,当該条に 指摘されていないのであるから,「第1条の規定による様式」とか 「第1条の様式第2」のように 表示すべきでは なかろうか。

特定計量器検定検査規則第35条の例

 (型式承認表示等)
第35条 型式承認表示及び法第84条第2項の型式承認表示を付した年の表示は、本体の見やすい箇所に、明りょうに次の様式1又は様式2(法第84条第2項の場合にあっては、様式3又は様式4)により付するものとする。この場合において、様式3又は様式4の右の数字は、型式承認表示を付した年を表すものとする。
様式1
 型式承認第1号
様式2
 型承1号
様式3
 型式承認第1号6
様式4
 型承1号6

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*1:更に この 省令は、附則が 章建てに なっている点も 特徴的である。

*2:様式第1から様式第25まで。

*3:様式1から様式3まで。

*4:様式1から様式3まで。

*5:標題なしの"次の様式"

*6:様式1から様式3まで。

*7:様式1から様式4まで。

*8:様式1及び様式2。

共同省令

 日本では,共同省令〈共同部令〉の 法令番号は,通常の 省令と 別個に 振られるが,韓国では 各省〈部〉ごとに 通常の 省令と 同様に 法令番号を 付する。

 また,韓国では,共同省令は 20個程度 あるが,最近は 減少の 傾向に あると されており*1,かなり 限定的に 用いられているようである。

 上位法令において省令で定めるよう委任する場合,その委任事務が2以上の行政各省の所管事務と直接的に関連している場合に問題となる。
 この場合,共同省令の形式で定めることができるが,上位法令で明示的に共同省令形式で定めることを規定する場合に定めることができる。すなわち,関連行政各省が必ず共同で省令を定める必要のある例外的な場合にのみ,明示的に共同省令の形式で必要な事項を定めさせなければならない。
 共同省令を定める場合には,同一の内容を2以上の省令に重複して規定することを防ぎ行政の統一性を期する必要のある場合,同一の対象に対し2以上の行政各省が管轄権を有し行政各省が協力を通じ一緒に行政の執行に関与することが不可避な場合等がある。
 共同省令で定める必要まではないが,各行政各省が関連する事項であれば,1の主務官庁を定め,該当省令を定めるときに関係官庁との協議を経るものとする方法も考慮することができる。
 共同省令で定めるべき不可避な事由がないにも拘らず,共同省令で定めるものとすることは,責任ある行政遂行に否定的な影響を及ぼしうるから,このような共同省令は望ましくない。
 共同省令で定めるよう委任する場合,「…に関し必要な事項は,○○省及び△△省の共同省令で定める。」と表現する。

 法令等で,ある事項を省令で定めるよう委任する場合,通常は,いずれか1の「省」の省令で定めるよう委任する(例:応急患者の移送手続等に関して必要な事項は,保健福祉省令で定める。)。
 しかし,委任する事項が2以上の省の所管事項等の場合には,2以上の省の共同省令で定めるよう委任する場合がある(例:救急自動車の形態・表示等に関する基準は,保健福祉省及び国土交通省の共同省令で定める。)。
 共同省令は,関連する該当の省が一緒に公布し,共同で管理する。但し,省令の公布番号は,省ごとに別に付与する。

[例]
 行政安全省令第68号
 教育省令第97号
 保健福祉省令第400号
 国土交通省令第305号

   子供・老人及び障害者保護区域の指定及び管理に関する規則

第1条(目的)XXXXXXXXX。

 (韓国法制局『法令立案審査基準』より。)

 

各号列記以外の部分

各号以外の部分

「…また、条文が本文と号で構成されている場合において、改正しようとする部分が各号でなく本文にある規定であれば「各号以外の部分」と、各号以外の部分が本文とただし書又は前段と後段からなっている場合には、当該部分まで引用しなければならない。

・・・

第3条第2項各号以外の部分本文中「---」を「---」に改める。

・・・

*『法令立案・審査基準』672頁。

  1. 日本では,「各号列記以外の部分」という 表現は,やむを得ない場合にのみ 用いることとされている。
  2. これに 対し,韓国では,「各号列記以外の部分」を 単純に 「各号以外の部分」と 表現し,また これを 常に 書くことを 原則とする。
  3. ところで,各号列記以外の部分の ただし書を 改正しようとする場合,日本では 「第〇条ただし書(各号列記以外の部分に限る。)」とするか,単に 「第〇条ただし書」などとして 付属語等によって ただし書中の 語句を 特定するのが 普通である*1のに対し,韓国では「第〇条各号以外の部分ただし書」の如く 表現する。
  4. このような 韓国での 表現は,本文・ただし書を 各号列記以外の部分の 下位区分として 位置づけているものと 考えられ,このような 表現方式では,各号列記以外の部分と 各号列記との 関係は,本文と ただし書の 関係に 類似して 捉えられるのでは なかろうか。
  5. すなわち,ただし書も 各号列記も 条(項)に 必須のものではないこと,本文も 各号列記以外の部分も,ただし書 又は 各号列記が なければ 単に 第〇条と 表現されるところを,ただし書 又は 各号列記が あることによって,その呼称が 変化するということである。
  6. 対して,条は,項があれば,条自体に ぶら下がる 文章というのは,存在し得ないし,章も 章自体に ぶら下がる 文章は,存在しない。

「第〇条ただし書各号列記以外の部分」の 適否

  1. ところで,いま 仮に 「第〇条ただし書各号列記以外の部分」という 表現を 検討してみようと思う。
  2. まず,各号列記は,本文と ただし書とで 共有することが できるのみならず,一の 条(項)に 2以上を おくことが できない点において,飽くまでも 当該 条自体に 係るものであると 考えられる。
  3. また,例えば 本文(前段・後段)・ただし書から なる条の 場合に,ただし書の 内容が 本文前段 又は 後段のみに 係る場合であっても,その両方に 係るであっても,これを その実質的な 内容に 応じて,前段ただし書とか 後段ただし書とかと 表現することは ない。
  4. そうすると,各号列記は,実質的には 本文 又は ただし書だけに 係る場合も あるとはいえ,やはり このような 表現は,適切と 言いがたいであろう。

「(各号列記以外の部分)」の 適否

  1. また,韓国でのように 条(項)柱書きの 改正時に 「各号列記以外の部分」を 常に 明示する場合における 「第〇条ただし書(各号列記以外の部分)」という表現の 適否を 考えてみる。
  2. この場合,先に述べたように,各号列記以外の部分・各号列記の 関係は,本文・ただし書の 関係と 同様に 捉えられるところ,本文(前段・後段)・ただし書から なる条の 本文前段を 表すのに,「第〇条本文前段」のように 表すことは あっても,「第〇条前段(ただし書以外の部分)」のように 表すことは できない。
  3. また,柱書き自体は 「第〇条各号列記以外の部分」として 特定しつつ,その 本文・ただし書は 「第〇条ただし書(各号列記以外の部分に限る。)」という 「各号列記以外の部分を 原則表示しないこと」を 前提とした*2 特定を 行うことは,矛盾的である。
  4. また,同じ 「各号列記以外の部分」を,あるときは 直接に,あるときは 括弧内に 示されることは,表記の 統一性を 欠く。
  5. すると,柱書きの 改正時 その要否に 拘らず「各号列記以外の部分」を 常に明示する 方式による場合において,「(各号列記以外の部分)」という 表現を 用いることは,不適切と 言うべきであろう。

*1:WB2の問210参照

*2:「第〇条ただし書(各号列記以外の部分に限る。)」表現は,「ただし書」に 各号列記が 含まれないことを 前提に,まず単に 「ただし書」として 特定しつつ,これに 各号列記が 含まれるという 誤った解釈を 防ぐために,確認的に 「(各号列記以外の部分に限る。)」と注釈したものと 考えるべきである。