- 縦書きの 法令・例規の 改め文では,規定を 加える 場合には 「次に」加えると,字句を 加える 場合には 「下に」加えると するのが 原則である。
- しかし,横書きの 例規の 場合には,京都府のように 字句の 追加を 「右に」 加えると する 自治体と,多くの 自治体のように 両方とも「次に」加えると する 自治体とが ある。
- ところで,戦前に 視点を 移すと,次のような 例が ある。
大正8年勅令第15号(京都帝国大学各学部ニ於ケル講座ニ関スル件)
京都帝国大学各学部ニ於ケル講座ノ種類及其ノ数左ノ如シ
[略]
医学部
[略]
耳鼻咽喉科学 1講座
[略]
工学部
[略]
化学機械学 1講座
[略]
[略]
昭和14年勅令第108号(京都帝国大学各学部ニ於ケル講座ニ関スル件中改正ノ件)
大正8年勅令第15号中左ノ通改正ス
医学部ノ部中「耳鼻咽喉科学 1講座」ノ次ニ 「薬品分析化学 1講座
薬品製造学 1講座」 ヲ加ヘ工学部ノ部中「化学機械学 1講座」ノ次ニ「燃料化学 2講座」ヲ加フ
- 個人的には,戦前にも 「左に」では なく 「次に」を 用いていたこと自体 意外なのだが,このような 場合には,現在の 法制執務では,次のように なるのだろう。
京都帝国大学各学部に於ける講座に関する件(大正8年勅令第15号)の一部を次のように改正する。
医学部の部中「耳鼻咽喉科学 1講座」を「耳鼻咽喉科学 1講座
薬品分析化学 1講座
薬品製造学 1講座」に改め,工学部の部中「化学機械学 1講座」を「化学機械学 1講座
燃料化学 2講座」に改める。
- 要するに,規定 あるいは 規定に 準ずるものの 追加の 場合には,「次に」を 用いる 訳である。
- 思うに,規定などの 概念的把握*1の 場合には 「次」という 論理的な 位置関係を 指示し,字句等の 図画的把握の 場合には 「下」という 物理的な 位置関係を 指示するということなのでは ないかと 思う。
- このように 考えると,横書きの 場合にも,字句の 改正は,物理的な 位置関係(「右に」加える)によることが 改め文方式の 慣習に 即するのでは ないかとも 思うところである。
- もっとも,溶け込んでしまえば 同じことなのであるが…。
*1:図画的 又は 概念的 把握参照。