1 本文
イ 導入
- 現在、省庁等や 府県で 用いられている 方式には、本文を 全く 記載しないもの、単に 「下線で示すように改正する」とか 「下線部分は改正部分」*1などと するもの 及び 改め文での 操作の 再現を 図るものとが ある。
- 思うに、新旧対照表自体は、既に 相当の 歳月の 積重ねを 経て、およそ 改正内容を 正確に 示すのに 不足しないものと なっていると 言える。
- また、新旧対照表において、下線部分が 改正の 対象部分であり、逆に 下線部分以外の 部分が 改正の 対象外であることは、恐らく 中学生でも 見れば 分かることだろう*2。
- そういう 意味では、「傍線で示すように改正する」とか 「傍線部分は改正部分」とか いった レベルの 文言であれば、いっそ 省いてしまっても 構わないようにすら 思える。
ロ 私案の 概要
- 方式書方式と 同様に、改正対象を 字句(下線の 付加)、規定(二重下線の 付加)及び 部分(破線での 囲繞)の 3種類に 分けるが、これに 加え、字句 及び 部分の 追加・削除に 関する 記載を 増やすものと する。これに伴い、改正対象の 性質の 違いから、字句と 部分の 改正に 係る 記載を 分離するものと する。
- 即ち、字句の 追加は、その追加される 位置の 把握を、その直前の 字句を 捉えて 行うという 点で、確実に 規定の 追加とは 異なる 記載の 方式を 要する。
- これに 対し、部分の 追加は、その直前 若しくは 直後の 規定*3 又は その所属する 規定*4を 捉えて 行うという 点において、規定の 追加の 場合の 位置の 把握と 本質的に 同じであって、規定の 追加に 準ずる 記載の 方式を 取ることが 適当であると いえる。
- このような 理由から、方式書方式では、同一の 記載によっている、字句の 改正に 係る 記載と 部分の 改正に 係る 記載とを 分けることと した。
- 規定の 改正に 係る 記載において、「その標記部分に二重下線を付した規定」などと している 部分は、対象規定の 種類が 数種類に 限定できるような 場合には、「その条名に二重下線を付した条(以下単に「条」という。)」のように、規定の 種類を より 限定的に 表現することが 望ましいだろう。
- なお、方式書方式では、題名の 改正を 含む 場合には、「規定(題名を含む。以下同じ。)」と することとしている。しかし、実質的な 規範の 内容を 構成しない 部分であるとは いえ、目次や 章名等と 同様、題名も、形式的には 当該法令の 一部であることを 踏まえれば、殊更 題名を 含む 旨を 表示する 必要は ないと 考える*5。
2 表
- 題名、見出し(共通見出しを含む。) 又は 章名等(以下「見出し等」という。)の 付加、削去、又は 全部改正は、その全体を 破線で 囲む*6。
- 対象規定の 全部改正・削除・追加の 場合には、二重下線に 加え、対象規定の 全体に 注記としての 下線を 付すものと する。
- 破線による 改正部分が 連続するときは、その全体について、破線で 囲むものとする。
- [ ]で 注記する 項番号は、[1]表記することを 原則とする。ただし、「附則を 附則第1項と」 する 改正の ように、標記部分を 違える 必要が ある場合には、[①]のように 表記するものと する。
(例)
改正前 |
改正後 |
○○法 |
××法 |
[条を加える。] |
(・・・) 第1条 ・・・。 |
(a) 第1条 ・A・。 |
(b) 第2条 ・B・。 |
(・c・) 第5条 [項を加える。] [1] [略] [2] ・・・に、次の機関を置く。 X [次の機関を加える。] Y |
(・d・) 第5条 [1] ~~~。 2 [同左] 3 ・・・に、次の機関を置く。 X Z Y |
(e) 第5条の2 C。 |
(e) 第5条の2 D。 |
(・・・) 第5条の3 ・・・。 [2] ・・・。 |
(・・・) 第5条の3 ・・・。 2 ・・・。 |
(f) [共通見出しを付する。] 第6条[1] ・・・。 [2] ・EE・。 |
[見出しを削る。] (f) 第6条 [項を削る。] [1] ・EEF・。 |
[条を加える。] |
第7条 ・・・。 |
第7条-第9条・第10条 [略] |
第8条-第10条・第11条 [同左] |
(・・・) 第11条 ・・・。 |
[条を削る。] |
(g) 第12条 G。 |
[条を削る。] |
第13条・第13条の2 [略] |
第12条・第13条 [同左] |
第13条の3・第13条の4・第13条の5 [略] |
第14条・第15条・第16条 [同左] |
第14条 [略] |
第17条 [同左] |
(h) 第15条 H。 |
[条を削る。] |
[条を加える。] |
(g) 第18条 G。 |
[条を加える。] |
(h’) 第19条 H’。 |
附 則 (施行期日) 1 この法律は、・・・から施行する。 (・・・) 2 ・・・。 |
附 則 [見出しを削る。] この法律は、・・・から施行する。
[項を削る。] |
別表第1(第○条関係) P Q [項を加える。] |
別表第1(第○条関係) P Q R |
備考 表中の[ ]の記載及び対象規定の二重下線を付した標記部分を除く全体に付した下線は注記である。 |
上の 表は、改め文方式では、次のように なるだろう。
題名を次のように改める。
××法
第1条の見出しを「(b)」に改め、同条中「A」を「B」に改め、同条を第2条とし、同条の前に次の1条を加える。
(・・・)
第1条 ・・・。
第5条の見出し中「c」を「d」に改め、同条第2項中「X」を「X
Z」に改め、同項を同条第3項とし、同項に項番号を付し、同条第1項を同条第2項とし、同項に項番号を付し、同条に第1項として次の1項を加える。~~~。
第5条の2を次のように改める。
(e)
第5条の2 D。
第5条の3第2項に項番号を付する。
第6条の見出しを削り、同条の前に見出しとして「(f)」を付し、同条第1項を削り、同条第2項中「E」の右に「F」を加える。
第11条を削り、第10条を第11条とし、第7条から第9条までを1条ずつ繰り上げ、第6条の次に次の1条を加える。
第7条 ・・・。
第12条を削り、第13条を第12条とし、第13条の2を第13条とする。
第15条を削り、第14条を第17条とし、第13条の5を第16条とし、第13条の4を第15条とし、第13条の3を第14条とする。
本則に次の2条を加える。
(g)
第18条 G。
(h’)
第19条 H’。
附則第2項 を削り、附則第1項の見出し及び項番号を削る。
別表第1中「Q」を「Q
R」に改める。
3 改正規定の 特定(施行期日関連)
(例)
- 「改正規定のうち、第○条中「○○」を「××」に改める部分、第×条に係る部分及び第△条を加える部分」
- 「改正規定(第○条中「○○」を「××」に改める部分、第×条に係る部分及び第△条を加える部分に限る。)」
とかかなあ。
4 改正規定としての 法的効力を 有する 部分
(1) 対象部分に 係るもの
- 改正前欄 又は 改正後欄に 掲げる 規定の 下線 若しくは 波下線を 付し、又は 破線で 囲んだ 部分
- 見出し等の 追加の 場合にあっては、その直前 又は 直後の 規定*7
(2) 対象規定に 係るもの
5 参照
*1:本稿において、原文中「傍線」とあるのは、「下線」と 読み替えて 引用する。
*2:もっとも、春日部市の 方式によれば、規定の 追加・削除は、下線を 付さないから、下線部分だけが 改正部分という 考えは、必ずしも 普遍的では ないのかも 知れない。
*3:章名等及び共通見出しの 場合
*4:見出し(共通見出しを 除く。)・標記部分の 場合
*5:題名を 含む 旨を 表示しない 例として 特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準の一部を改正する内閣府令(令和元年内閣府令第8号)が ある。
*6:見出しの 全部改正を 破線により 行った 事例として外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成29年総務省・財務省令第5号)が、見出しの 付加を 傍線で 行った 例として 国民年金法施行規則等の一部を改正する省令(平成29年厚生労働省令第78号)が、見出しの 削除を 傍線で、章名等の 追加・削除を その全体への 二重傍線で、 章名等の 全部改正を 標記部分を除く全体への 二重傍線で 行った 例として 特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準の一部を改正する内閣府令(同年内閣府令第8号)が ある。
*7:上の 例で 言えば、第6条(の 標記部分)である。
*8:上の 例で 言えば、第5条の 「[1]」の部分である。
*9:上の 例で 言えば、「第7条-第9条」の 部分などである。
*10:上の 例で 言えば、改正後の 第1条の 「(・・・)」及び「・・・。」の 部分などである。