日韓の 法令に 関すること(など)

日韓の 改め文に 関することを 中心に 調べたことなど(法令以外に 関するものも 含む。)を 書いていく 予定です(ひとまず)。 IE未対応です。

全部改正(雑感)

全部改正省令の 制定文・改正文

  1. 日本では,ある法律の 全部を 改正しようとする場合,題名の 後に,法律では 「 〇〇法(平成〇〇年法律第〇〇〇号)の全部を改正する。」という 文章が,政令では 「 内閣は,〇〇法(平成〇〇年法律第〇〇〇号)第〇条の規定に基づき,〇〇法施行令(平成〇〇年政令第〇〇号)の全部を改正するこの政令を制定する。」という 文章が おかれ,これは 制定文とされている。また,その際 法律の 題名は,新規制定の場合と 同様に「○○法」などとされ,「○○法の全部を改正する法律」などとは しない。
  2. 反面,韓国では,「○○法の全部を次のように改正する。」という 文章が おかれ,これは 改正文とされている。また,題名は,「○○法全部改正法律」とされる。
  3. ところで,官報サイトで「の全部を改正する省令」で 検索してみると,(共同)省令では,次の いずれかの 場合が ほとんどである。
    • 題名の 前に 「 ○○法の規定に基づき,○○法施行規則の全部を改正する省令を次のように定める。」旨の制定文を,題名の 後に「 ○○法施行規則(平成〇〇年○○省令第〇〇〇号)の全部を次のように改正する。」旨の 文言を おき,題名を「○○法施行規則の全部を改正する省令」とする。
    • 題名の 前に 「 ○○法の規定に基づき,○○法施行規則(平成〇〇年○○省令第〇〇〇号)の全部を改正する省令を次のように定める。」旨の制定文を おき,題名の 後には 特段の 文言を おかず,題名を 単に「○○法施行規則の全部を改正する省令」とする。
  4. また,電気用品の技術上の基準を定める省令の全部を改正する省令(平成25年7月1日経済産業省令第34号)では, 「~の全部を改正する省令」という題名の 前に 「~の全部を改正する省令を次のように定める。」という 制定文を おきつつ,題名の 後には, 「全部を(次のように)改正する。」旨の 文言は,おいていないようである。
  5. 同省令のような 形式だと 同省令による 改正後の 当該省令は,形式的には 「電気用品の技術上の基準を定める省令(平成25年7月1日経済産業省令第34号)」ではなく,「電気用品の技術上の基準を定める省令の全部を改正する省令(平成25年7月1日経済産業省令第34号)」として 引用すべきことに なるのでは なかろうか。
  6. ほかに,全部を次のように改正する旨の 文言の 後に,第1条以下を 直接 続ける例がある*1が,同文言が 改正文であるならば,同省令による 改正後の 当該省令は,形式的には 題名がないことに なったりしないのだろうか(件名復活か??)。
  7. ところで,2条建てで全部改正 - 自治体法制執務雑感で 指摘されていた 情報処理技術者試験規則等の全部を改正する省令(平成28年経済産業省令第102号)は,自分の 調べたところによれば,都市緑地保全法施行規則(昭和49年建設省令第1号)以来40年ぶり 満を持しての 条建て全部改正である。
  8. その後 「情報処理の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成29年経済産業省令第78号)では,「情報処理技術者試験規則等の全部を改正する省令」(平成28年経済産業省令第102号)による 改正後の 情報処理技術者試験規則を「情報処理の促進に関する法律施行規則(平成28年経済産業省令第102号)」と 引用しているようだ。

私見

一応 自分なりの 結論を 見いだした論点

  1. 題名が「~施行規則の全部を改正する省令」であれ,「~施行規則」であれ,"改正文的な何か"が あろうと なかろうと,或いは 条建てであろうと なかろうと,そもそもの 法令番号の 目的や 全部改正法律等での 慣習からすれば,全部改正後の 法令番号が 当該全部改正省令の 法令番号となるべきことについては,異論がないように思う。
  2. 現実には,いずれの 方式によるに 拘らず,全部改正の 効力自体に 影響が ないのも 異論がないところだと 思う。
  3. 題名は,法律・政令の 例によれば,単に 「○○法施行規則」等と すべきであると思う。
  4. 制定文は(まあ 付けるべきものだし),現在一般的なように,政令に 準じて 表現すれば 足りると思う。
  5. "改正文的な何か"については,「何となく 法律で あるような アレが 題名の 後に ないのに 違和感を 感じる。」ということ自体は,理解できなくもないが,次のような 理由から,"改正文的な何か"については,表示しないのが 適当であると考える。
  6. 第1に,"改正文的な何か"が 制定文だと 仮定すれば*2,題名の 前と 後とで 重複して 制定文を 表示することの方が よほど 不適当であろう。
  7. 第2に,"改正文的な何か"が 改正文*3だと 仮定すれば,次のような 理由から 不適当と考える。
    • そもそも 法律における「○○法(平成○○年法律第○○号)の全部を改正する。」旨の 制定文にしても,「全部改正と廃止制定とが立法形式において極めて類似しており、外見上区別しがたいことから、そのいずれであるかを制定文において明らかにするためであ」って,本来 絶対必須のものではない*4
    • 制定文が 題名の 前か 後かで 具体的な 効果に 差があるとも 思われない。
    • 改正文によって 改正の操作を 行うのであれば,当該改正文の 後には,改正後の 当該省令の 附則と 全部改正省令自体の 附則とが 続かなければ ならない*5はずだが,現実的には,おそらく 全ての 全部改正省令において,当該全部改正省令自体の 附則しか 続かない。

放棄した論点

  1. "改正文的な何か"を書きつつ,その次に 題名を 続けない場合,特に
    「  ○○法施行規則(平成○○年○○省令第○○号)の全部を次のように改正する。
     (見出し)
    第1条 ・・・。」と "改正文的な何か"の 次に 続けて 本則・附則(各1つ)を 書いてしまっており,かつ,当該全部改正省令の題名が「~施行規則の全部を改正する省令」である場合に,当該省令の 題名と 附則は,どうなるのかが 非常に 微妙なところであると 思うが,それは ひとまず 放棄する。

実例

全部改正の 雑記も 参照。

なお,以下 一部 文体等を 整理してある。

 山梨県議会委員会条例(昭和31年山梨県条例第48号)

 山梨県議会委員会条例の全部を改正する条例を次のように公布する。
   山梨県議会委員会条例の全部を改正する条例
 山梨県議会委員会条例(昭和30年5月山梨県条例第19号)の全部を次のように改正する。
   山梨県議会委員会条例
 (常任委員会の設置)
第1条 議会に常任委員会を置く。

 ・・・

電気用品の技術上の基準を定める省令の全部を改正する省令(平成25年7月1日経済産業省令第34号)

 電気用品安全法昭和36年法律第234号)第8条第1項の規定に基づき、電気用品の技術上の基準を定める省令(昭和37年通商産業省令第85号)の全部を改正する省令を次のように定める。
  平成25年7月1日     経済産業大臣 茂木 敏充
   電気用品の技術上の基準を定める省令の全部を改正する省令
目次
 第1章 総則(第1条)

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情報処理技術者試験規則等の全部を改正する省令(平成28年経済産業省令第102号)

 サイバーセキュリティ基本法及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成28年法律第31号)の施行に伴い、並びに情報処理の促進に関する法律(昭和45年法律第90号)第7条、第9条第2項、第11条第2項(同法第23条第2項及び第29条第3項において準用する場合を含む。)、第15条、第26条、第28条、第29条第4項及び第43条第4項の規定に基づき、情報処理技術者試験規則等の全部を改正する省令を次のように定める。
  平成28年10月21日     経済産業大臣 世耕 弘成  
   情報処理技術者試験規則等の全部を改正する省令
 (情報処理技術者試験規則の全部改正)
第1条 情報処理技術者試験規則(昭和45年通商産業省令第59号)の全部を次のように改正する。
   情報処理の促進に関する法律施行規則
目次
第1章 情報処理安全確保支援士
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・・・
第2条 情報処理技術者試験の区分等を定める省令(平成9年通商産業省令第47号)は、廃止する。 

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都市緑地保全法施行規則(昭和49年建設省令第1号)

 都市緑地保全法(昭和四十八年法律第七十二号)第十五条第一項(同法第十七条第二項において準用する場合を含む。)並びに第十六条第一項第三号(同法第十七条第二項において準用する場合を含む。)及び第二項(同法第十七条第二項及び第二十条第三項において準用する場合を含む。)並びに都市緑地保全法施行令(昭和四十九年政令第三号)第一条、第三条第一号及び第五号並びに第四条の規定に基づき、並びに都市緑地保全法を実施するため、都市緑地保全法施行規則を次のように定める。
 昭和49年1月31日     建設大臣 亀岡 高夫
   都市緑地保全法施行規則
 (収用委員会に対する裁決申請書の様式)
第1条 都市緑地保全法施行令(以下「令」という。)第1条の建設省令で定める様式は、別記様式のとおりとする。

・・・

   附 則
 (施行期日)
1 この省令は、法の施行の日(昭和四十九年二月一日)から施行する。
 (首都圏近郊緑地保全法施行規則の全部改正)
2 首都圏近郊緑地保全法施行規則(昭和四十二年建設省令第九号)の全部を次のように改正する。
   首都圏近郊緑地保全法第六条第九項の規定
   に基づく収用委員会に対する裁決申請書の
   様式を定める省令
 首都圏近郊緑地保全法施行令第一条の建設省令で定める様式は、次のとおりとする。
[様式・略]
 (近畿圏の保全区域の整備に関する法律施行規則の全部改正)
3 近畿圏の保全区域の整備に関する法律施行規則(昭和四十三年建設省令第十号)の全部を次のように改正する。
   近畿圏の保全区域の整備に関する法律第七
   条第九項の規定に基づく収用委員会に対す
   る裁決申請書の様式を定める省令
 近畿圏の保全区域の整備に関する法律施行令第三条の建設省令で定める様式は、次のとおりとする。
[様式・略]
 (都市計画法施行規則の一部改正)
4 都市計画法施行規則(昭和四十四年建設省令第四十九号)の一部を次のように改正する。
・・・
[別記様式・略]

人材認定等事業に係る登録に関する省令の全部を改正する省令(平成24年文部科学省農林水産省経済産業省国土交通省環境省令第2号)

 環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律の一部を改正する法律(平成23年法律第67号)の一部の施行に伴い、並びに環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律(平成15年法律第130号)の規定に基づき、及び同法を実施するため、人材認定等事業に係る登録に関する省令の全部を改正する省令を次のように定める。
  平成24年6月29日     文部科学大臣 平野 博文
               農林水産大臣 郡司  彰
               経済産業大臣 枝野 幸男
               国土交通大臣 羽田雄一郎
                 環境大臣 細野 豪志
   人材認定等事業に係る登録に関する省令の全部を改正する省令
 人材認定等事業に係る登録に関する省令(平成16年文部科学省農林水産省経済産業省国土交通省環境省令第1号)の全部を次のように改正する。
   環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律施行規則
 (支援団体の指定の基準)
第1条 環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律(以下「法」という。)第10条の2第1項第1号の主務省令で定める基準のうち経理的基礎に係るものは、次に掲げるものとする。
・・・

婦人補導院組織規則(平成13年法務省令第5号,平成12年中央省庁等改革推進本部令*6第14号)

 法務省設置法(平成11年法律第93号)第12条第3項の規定に基づき、及び同法を実施するため、婦人補導院組織規程の全部を改正する命令を次のように定める。
  平成12年8月14日    中央省庁等改革推進本部長 森 喜朗
   婦人補導院組織規程の全部を改正する命令
 婦人補導院組織規程(昭和33年法務省令第33号)の全部を次のように改正する。
   婦人補導院組織規則
 (名称及び位置)
第1条 婦人補導院の名称及び位置は、別表のとおりとする。

・・・ 

   附 則
 (施行期日)
1 この中央省庁等改革推進本部令(次項において「本部令」という。)は、内閣法の一部を改正する法律(平成11年法律第88号)の施行の日(平成13年1月6日)から施行する。
 (この本部令の効力)
2 この本部令は、その施行の日に、婦人補導院組織規則(平成13年法務省令第5号)となるものとする。

・・・

国籍法施行規則(昭和五十九年法務省令第三十九号)

 国籍法(昭和25年法律第147号)第19条並びに国籍法及び戸籍法の一部を改正する法律(昭和59年法律第45号)附則第5条第1項及び第6条第1項の規定に基づき、国籍法施行規則の全部を改正する省令を次のように定める。
   国籍法施行規則
 国籍法施行規則(昭和25年法務府令第69号)の全部を次のように改正する。
 (国籍取得の届出)
第1条 ・・・。

・・・

*1:国籍法施行規則(昭和59年法務省令第39号)や 一部自治体の 条例・規則など

*2:実際に 「○○法施行規則(省令番号)の全部を改正する。」のようにする例も あった。

*3:大部分が 「○○法施行規則(省令番号)の全部を次のように改正する。」のような 文言であった。

*4:このように,同一の 規律対象について 別の 法律を 制定することによって,特段の 改正操作を 要することなく,当該法律の 内容が 実質的に 置き換えられるという点において,いわゆる全部改正法律は,増補方式に 類似していると思う。

*5:附則も 当該省令の 一部を 構成する以上,ある省令の 全部を 改正する場合,附則も 同時に 改められると 解すべきである。

*6:余談ながら,「中央省庁等改革推進本部の組織等に関する政令(平成10年政令第220号)」の 題名は,制定当初「中央省庁等改革推進本部令」であったが,中央省庁等改革のための内閣関係政令等の整備に関する政令(平成12年政令第303号)第11条により,現在?の 題名に 改められた。その後 同庁において 命令を定めるのに「中央省庁等改革推進本部令」とバッティングするためか?