改正規定(条)
総論
- 法令の 本則は,普通 その内容ごとに 条に まとめて 定められる。
- 従って,本則でも その内容が 簡単で 内容ごとに まとめるほどの 必要が ない場合には 項の 区切りのみを 行うことも あるし,項に 分ける 必要すら ない場合には 項分けも 行わないことも ある*1。
- また,条を 更に 項・号などに 分けることもある。
- これとは 逆に,附則でも その内容が ある程度 複雑である場合などには,項分けが なされたり,本則と 同様に 条分けが なされることも ある。
追加
日本
- 日本では,条の 追加は,追加する 位置を 特定して 行う。
- 追加する 位置の 特定は,「第_条の次」として 特定するのが 原則である。
- しかし,第1条を 追加しようとする場合や 既存の 条の 繰下げの 途中に 追加しようとする場合のように 「第_条の次」の 形式で 特定するのが 不適当な場合には,「第_条の前」として 特定する。
- 章等(本則と 附則)の 境に 条を 追加する場合については,「その他共通事項」を 参照。
- なお,「第_条 削除」は,形式的には,条が 存続しているから 当該箇所に 条を 新設しようとする場合は,当該条を 改正する 方式に よることと なる。
[原則]
第1条の次に次の2条を加える。
(見出し)
第2条 ・・・。
(見出し)
第3条 ・・・。
2 ・・・。*2
["前に"方式による場合](基本的に 既存の 条の 繰下げを 伴う。)
第3条の前に次の1条を加える。
(見出し)
第2条 ・・・。*3
[第1条(及び それに 連続する 数条)を加える場合]
第1条として次の1条を加える。
(見出し)
第1条 ・・・。*4
第1条及び第2条として次の2条を加える。
(見出し)
第1条 ・・・。
(見出し)
第2条 ・・・。*5
[戦前] (ふつう, 単に 追加しようとする 条の 内容を 記載する。)
第1条 ・・・。
第1条の次に左の1条を加ふ
第2条 ・・・
韓国
- 韓国では,追加する 位置ではなく,追加する 条の 条名〈条番号〉を 特定して 行う。
- また,2条以上を 加える 場合には,「・・・を各々新設する。」と 表現する。
- なお,削除された 条文は,存在しないものとして 扱われるから,当該箇所に 条を 新設する場合も,通常の 新設と 同様の 方式に よる。
제1조를 다음과 같이 신설한다.
제1조(제목) ・・・.*6
제1조부터 제3조까지를 각각 다음과 같이 신설한다.
제1조(제목) ・・・.
제2조(제목) ・・・.
제3조(제목) ・・・.*7
その他共通事項
- 日本でも韓国でも 章等の 境目に 条文を 追加する場合には,いずれの章等に 属するかを 表示してする。
- 日本では,本則・附則が 通し条名になっている 法令*8の 本則と 附則の 境目に 条を 追加する場合も,章等の 境目に 追加する場合と 同様の方式による*9。
[章等の 境に 追加する場合]
第1章中第2条の前に次の1条を加える。
(見出し)
第1条 ・・・。*10
第1章中第2条の次に次の1条を加える。
(見出し)
第3条 ・・・。*11
[附則が 通し条名である 法令の 本則と 附則の 境に 追加する場合]
本則中第3条の次に次の1条を加える。
第3条の2 ・・・。*12
[章等・本則の 最後に 追加する場合]
(章等の最後)
第1章に次の1条を加える。
(見出し)
第5条 ・・・。*13
(本則の最後)
本則に次の1条を加える。
(見出し)
第5条 ・・・。*14
[戦前]
第1章中第2条の次(前)に左の1条を加ふ
第3条 ・・・。*15
[장ㆍ절 경계에 추가하는 경우]
제1장(절)에 제5조를 다음과 같이 신설한다.
제5조(제목) ・・・.*16
改正
- 条の 一部を 改める場合については,「改正規定(字句)」,「改正規定(ただし書)」,「改正規定(項)」その他 該当の 記事(執筆予定。) 参照。
- なお,日本では,現在 規定を 全部 改めて 移動する 方式は,取らないことと されている。
- 従って,このような 場合には,当該条については 削るか,全改して 新たな 条とし,その上で 全改後の 当該規定については 新設する 方式に よる。
第1条を次のように改める。
(見出し)
第1条 ・・・。*17
[戦前] (ふつう, 単に 改正後の 条の 内容のみを 記載する。)
第1条 ・・・。*18
第1条を左の如く改む
第1条 ・・・
제1조를 다음과 같이 한다.
제1조(제목) ・・・.
제1조 및 제2조를 각각 다음과 같이 한다.
제1조(제목) ・・・.
제2조(제목) ・・・.
削去
日本
- 日本の場合,ある条を 廃止するには,(1) 当該条を その痕跡を残さずに 形式上も実質上も 完全に 消し去る方法(以下「形式削去(方式)」という。)と,(2) 当該条を 形式的には 残しつつ 実質的に 廃止する方法(以下「実質削去(方式)」という。)がある。
- 形式削去方式は,①法令 又は 枝番号の 最後の 条を 廃止しようとする場合や ②当該条を 削った後 その空き地に 新たに 別の条を 新設したり,既存の 条を 移動する場合に 用いられる。
- 実質削去方式は,法令 又は 枝番号の 最初 又は 中間の 条を 廃止しようとする場合であって,その空き地に 新たに 別の条を 新設したり,既存の 条を 移動しない場合に 用いられる。この方式は,形式的には,条の 全部改正である。
- 要するに,条又は号中に不自然な欠番が生じないか否かを基準としているのである。
[形式削去]
第1条を削る。*19
第1条から第10条までを削る。*20
[実質削去]
第1条を次のように改める。
第1条 削除*21
第1条から第10条までを次のように改める。
第1条から第10条まで 削除*22
[戦前]
第1条を削る*23 *形式削去
第1条 削除*24 *実質削去
第1条を削除す *実質削去
韓国
- 韓国の場合,前述のようなことには 無頓着なようで,一律に 削る〈削除する〉方式による。
- 従って,削除後には,空き地が 生ずることとなるが,法典編纂に あたっては,「第○条 削除」として 当該条が 削られていることを 示す 取扱いと なっている。
- また,2条以上を 削除する場合には,「・・・を各々削除する。」と 表現する。
- なお,連続する条が 削られている場合においては,六法〈法典〉によって「第○条から第○条まで 削除(第○条ないし第○条 削除)」として 纏めて 示すものと,各条ごとに 「第○条 削除」として 個別に 示すものがある。
- また,削ろうとする 条の 中間に 既に 削られている 条がある場合においては,既に 存在しない 条を 削ることは できないから,当該 既に 削られている条 以外について 削ることと されている。
- そのほか,枝番号が 間に 入る場合には,これを 別途 示すものとされる。
제1조를 삭제한다.*25
제1조부터 제10조까지를 각각 삭제한다.*26
[중간에 이미 삭제된 조가 있는 경우]
(제5조가 이미 삭제된 경우)
제1조부터 제4조까지 및 제6조부터 제10조까지를 각각 삭제한다.
[가지번호가 있는 경우]
제1조부터 제4조까지, 제4조의2 및 제5조를 각각 삭제한다.*27
移動
条の移動については,「改正規定(条名)」参照。
雑記
私見「廃止」
- 民法施行法(明治31年法律第11号)第45条は 「第四十五条 廃止」と,外国に於て流通する貨幣紙幣銀行券証券偽造変造及模造に関する法律(明治38年法律第66号)第7条*28は 「第七条 廃止」と なっている。
- 前者は,永代借地権ニ関スル法律(明治34年法律第39号)第6条によるもので,同条は,「第6条 民法施行法第四十五条の規定は本法施行の日より之を廃止す」と なっている。
- 後者は,刑法施行法第19条第2項によるもので,同項は,「他の法律の規定中剥奪公権、停止公権、監視及び附加の罰金に処す可き旨を定めたるものは之を廃止す」と なっている。
- また 手形法(昭和7年法律第20号)80条は,「第80条 ・・・商法施行法第124条乃至第126条は之を削除す但し・・・」となっており,これを 受けて,商法施行法(明治32年法律第49号)124条から126条までは,「第124条乃至第126条 削除」となっている。
- 一方,統監府特許局官制中改正の件(明治43年勅令第98号)では,「第9条を削る」としており,これを 受けて,統監府特許局官制(明治41年勅令第202号)は,第9条は,完全に 削り去られている。
- このように 「削除する」方式の場合には,「削る」方式の場合と 異なり,「第_条 削除」となるというのが,当時の 実務だったと 考えられる。
- ただ,このような 事情を 考慮せずに,純粋に 理屈だけで 考えると,法令の 「廃止する」の場合は,当該法令は,その効力を 失うに
不過し ,その 具体的な 条文自体は,何か 変化したり,なくなったり するわけではないように 思う。 - 例えば,「○○法は,廃止する。」という 法律が 施行された場合でも,○○法の本文が
○○法
に 改められるとは,普通 考えないだろう。
廃止 - そして,いま 仮に,条の「廃止する」や「削除する」を (条の)「削る」と 同視するのであれば,別途 新設や繰上げ・繰下げを しない限り,同条は 当然 欠番となるはずである(例1)。
- 逆に,法令の「廃止する」と 同視するのであれば,同条はテキスト(文字列)としては変化しないはず(例2)である。
(六法等)
・・・
第44条 民法施行前に・・・
地上権者が・・・
地上権者が・・・
第45条 廃止
第46条 民法第375条・・・
・・・
(例1)
・・・
第44条 民法施行前に・・・
地上権者が・・・
地上権者が・・・
第46条 民法第375条及び・・・
・・・
(例2)
・・・
第44条 民法施行前に・・・
地上権者が・・・
地上権者が・・・
第45条 外国人又は外国法人の為めに設定したる地上権には条約又は命令に別段の定なき場合に限り民法の規定を適用す
第46条 民法第375条・・・
・・・
*1:この場合には,1項のみからなる本則として 扱われることとなる。
*2:出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律(平成三十年法律第百二号)第一条参照。
*3:競馬法の一部を改正する法律(平成27年法律第18号)参照。
*4:石綿による健康被害の救済に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成22年法律第142号)参照。
*5:石綿による健康被害の救済に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成22年法律第142号)参照。
*6:법률 제13230호 국립대학법인 울산과학기술대학교 설립·운영에 관한 법률 일부개정법률 참조.
*7:법률 제13230호 국립대학법인 울산과학기술대학교 설립·운영에 관한 법률 일부개정법률 참조.
*8:古い法令では,本則・附則は,通し条名であった。
*9:ただし,普通 附則の 最初(通常 施行期日を 規定する。)に 条文を 追加することは ありえないから,実質的には,本則の 最後に 条を 追加する場合のみが これに 相当する。
*10:国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律(平成二十七年法律第五十六号)参照
*11:出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律(平成30年法律第102号)参照
*12:良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(平成18年法律第84号)第4条参照。
*13:独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律(平成27年法律第48号)第3条参照
*14:地域再生法の一部を改正する法律(平成28年法律第30号)参照
*15:恩給法中改正法律(昭和8年法律第50号)参照。
*16:법률 제15329호 관세사법 일부개정법률 참조.
*17:会社法の一部を改正する法律(平成二十六年法律第九十号)参照。
*18:廃兵院法中改正法律(大正2年法律第1号)参照。
*19:民法の一部を改正する法律(平成二十九年法律第四十四号)参照。
*20:民法の一部を改正する法律(平成二十九年法律第四十四号)参照。
*21:児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律第69号)参照。
*22:民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)参照。
*23:衆議院議員選挙法中改正法律(昭和20年法律第42号)参照。
*24:遺失物法中改正法律(大正2年法律第4号)参照。
*25:법률 제9931호 저탄소 녹색성장 기본법 부칙 제4조제1항 참조.
*26:법률 제9931호 저탄소 녹색성장 기본법 부칙 제4조제10항 참조.
*27:대통령령 제22550호 방송통신발전 기본법 시행령 부칙 제6조 제6항 참조.
*28:監視に付すべき旨の規定。